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ものづくりを変える包装技術の未来〜 あなたの未来はこう変わる!

川島製作所 ソリューション戦略室・阿部賢吉室長に聞く

SDGs・カーボンニュートラル対策事情と最新環境技術が切り拓く未来

消費者意識やマーケット環境の変化が今、大きな潮流として世界中に広がりを見せています。人々の環境意識はここ数年で急激な高まりを見せ、SDGsとして結実しました。エネルギーコストの上昇、差別化しにくい競争環境など、企業経営は外部環境から大きなプレッシャーを受けています。 どうすればこの劇的な変化を迎えた時代に、持続可能な成長を続けていけるのでしょうか? 川島製作所で包装機のこれからを考える包装ソリューション戦略室、阿部賢吉室長が、SDGsとカーボンニュートラルに対する川島製作所の対応や最新環境技術の進展、そして「食」のものづくり現場が抱える課題や未来を切り拓く、革新的な包装技術についてご説明します。


株式会社川島製作所 ソリューション戦略室 室長 阿部賢吉

ものづくりを変える包装技術の未来〜 あなたの未来はこう変わる!

KAWASHIMAが考える未来の包装機とは

>これまで、川島製作所の包装機が可能にするSDGsへの取り組みや、最新技術についてうかがってきました。最終回となる今回は、少し先にある、未来の包装機や技術についてお話しいただきたいと思います。まずは包装機について、今後どのようなことが求められるようになるとお考えですか。

阿部:今後増えていくのは、工場の省人化、無人化に対応できることだと感じています。昨年の11月ごろに実施している調査*で、経営者の人手不足に対する懸念が高まっている傾向があるとわかりました。実はコロナ以前の2019年に行われた調査でも、景気に悪影響を及ぼす懸念材料として、半数近い企業がリスクとして挙げていたのが「人手不足」だったんです。ところが、突然のコロナ禍で業務量が減ったこともあり、20年は人手不足よりも感染症の影響拡大や、雇用の悪化などに意識が向いていました。  風向きが変わったのは昨年に入ってからです。景況感の回復に伴い、再度人手不足が取りざたされるようになりました。実際、21年12月時点における企業の人手不足割合は、正社員では47.5%、非正社員では27.7%。既にコロナ以前の19年に近い水準まで戻っています。

>働き手そのものが減っているということなんでしょうか。

阿部:そうですね。景気が回復して仕事は増えているけれど、働き手がいない。少子高齢化の波が来ているということなんだと思います。とくに食品を含めた製造業は、本当に人が足りていない。アルバイトで補おうと、これまでと比べて高額な時給で求人しても、なかなか人が集まらないのが現状なんです。コロナ以前も深刻な人手不足でしたが、海外から来ていた外国人労働者がそれを補ってくれていた感があります。ところが、コロナ禍で海外との人の行き来が制限されるようになり、外国人労働者は極端に減りました。景気は回復傾向にありますが、コロナ禍によって人手不足が加速しているように思えます。また、コロナによるクラスター感染のリスクなども合わせると、少ない人数で無理なく働けるための機械の改善は必須です。

>工場内の無人化が実現できれば、製造部門のテレワークなども現実的になりそうですね。

阿部:「製造部門は現場に出ないと仕事にならないからテレワークは難しい」という話を聞くことがありますが、私はそんなことはないと思うんです。もちろん、これまでは、工場に行かなければ仕事ができませんでした。それは、製造部門の人たちが、原材料を測って機械に入れたり、ケーキにイチゴを乗せたりと、生産ラインの中に組み込まれた仕事を行なってきたからです。でも、今、技術は飛躍的に進歩しています。これまで人の手でやってきた単純作業は、機械にAIを組み込んだり、ロボットを使ったりすることで、人の手から解放され、機械が代替することもできる。そうなったとき、人がやらなければならないのは、何をどれだけつくるのかといった指示や、機械がちゃんと動いているかどうかを確認する管理などになるでしょう。機械がネットワークにつながっていれば、工場内にいる必要もなくなります。つまり、これまではリモートではできないと思われていた製造部門の仕事もリモートで可能となるのです。

>不具合が出ていないかどうかを確認するメンテナンス(保守・点検)も、リモートで行うことができるようになりそうですね。

阿部:これまでは、機械のある場所まで行って、メンテナンスを行なっていました。それがリモートでメンテナンスできるようになれば、現場で機械を調整したり修理したりするとき以外は遠隔操作が可能になります。とくに定期点検は、異常がないことも多いため、その都度工場までいく手間が省け、その時間で別のことができる。業務効率を劇的に向上させることができるんです。

*1 2022年の景気見通しに対する企業の意識調査/出所:帝国データバンク 【参考】
https://www.tdb-di.com/2021/12/sp20211214.pdf

高まる予防と予知のニーズ

>包装機は導入した後のメンテナンスが大切だと聞いたことがあります。

阿部:製造工場が一番やってはいけないこと——。それは、製造ラインを止めてしまうことです。もし、包装機が稼働中に突然動かなくなってしまえばどうなるでしょうか。商品を包装することができず、出荷できなくなってしまいます。欠品ということになれば、多方面に迷惑をかけてしまうことにもなります。メンテナンスに関して私たちがこれから考えていかなければいけないのは、機械が稼働している最中に不具合を起こさないようにすること、つまり、不具合が起きる前にそれを察知できる、予防保全や予知保全なのです。

>不具合が起きることが事前にわかっていれば、機械が突然壊れてラインが止まってしまう事態を避けることもできそうですね。

阿部:機械である以上、使い続けることで不具合が出たり壊れたりすることは避けられません。これまでは、電話をいただいてご質問を受けたり、「ちょっと来てください」と呼び出されたりして対応してきました。ただ、そうした場合には、機械がなおるまで、製造はストップしてしまっていました。もし、機械が動かなくなる前に、「そろそろ壊れますよ」と教えてくれる機能があれば、製造が休みの際に修理したり、事前に不具合が起きそうな箇所を取り替えたりといった対応が可能になるはずです。

>そうすることで、ラインを止めてしまうことが防げますね。
 「予防保全」と「予知保全」とでは、どう違うのでしょうか。

阿部:予防保全は、簡単に言えば、使用期限をあらかじめ伝えておき、期限が近づいたらアラートを鳴らすといったことです。たとえば、新しくパソコンを買うと、保証期間があらかじめ示されますよね。ただ、よほどの記念日でもない限り、何年の何月何日に購入したか、詳しい日付まで覚えている人は少ない。ですから、たとえば保証期間が2年であれば、期限が近づいてくると「もうすぐ2年経つから買い換えを検討してください」というテキストをモニターなどに表示させるようにする。これが予防保全です。  それに対して予知保全は、使用年数に関係なく、機械の状態を見るものです。先ほどの例でいえば、2年間壊れないようにつくってあるといっても、使い方によっては数カ月で不具合が生じてしまうこともあるかもしれません。逆に3年経っても5年経ってもどこにも問題が生じない場合もある。そんなふうに、機械の使用状態や現在の状態を確認して、「使用頻度が高くすり切れそうだから交換してください」、「磨耗が激しいからあと数回しか使えません」と壊れる前に知らせることができるのが「予知保全」なのです。

>予防保全はすでに一部で取り入れていらっしゃいますよね。

阿部:今はまだデータが少ないので単純に期限を表示するといったことしかできませんが、今後さまざまなデータを取り、統計化して予防保全の精度を上げていく予定です。データが増えれば増えるほど、どんな使い方をするとどのタイミングで故障するかといった傾向が見えてくるはずですから。また、予知保全については、今後、どのように組み込んでいくのか検討している最中です。

>業界でも、予知保全ができている包装機はまだないと聞きます。

阿部:包装機の場合、個別の条件にカスタマイズすることも多いため、他社も含め、予知保全ができる包装機ができたという話はまだ聞こえてきません。川島製作所でも、どのような仕組みにすれば予知保全ができるかを検討中です。最近では、お客様から「包装機にはAIは入らないの?」と訊かれることも出てきました。家電製品や自動車などは、すでにAIが組み込まれているのが当たり前になってきています。包装機でも、AIやカメラをうまく活用することで、機械の磨耗具合を確認するといったこともできそうです。やり方を検討し、新たな包装機を開発していく予定です。

>私たちが健康診断をするように、機械も定期的にAIが診断するといった未来もありそうですね。

阿部:製造ラインを止めないという命題に応えるためにも、予知保全は必ず必要になってくると思います。どんなふうにAIを組み込んで予知保全に活用していくのか、そうしたことも検討していく必要があると考えています。

 

人生が楽しくなる働き方を創出

>現場で機械を組み立てたり、設定・調整を行ったりする場合、技術者個人の技量によって大きく差が出ると聞いたことがあります。

阿部:たしかに、同じように機械を調整しても、人によって稼働率が大きく変わることはあり得ます。今後は、誰がやっても同じ結果が得られるよう、平準化していくことも大切だと思っています。また、機械の中にはパーツを交換しなければならない場合もありますが、現状では交換部分のパーツが15キロ以上の重さのこともあるんです。それだけ重たいと、力のある人でなければ交換することができません。そんなふうに、特定の誰かしかできないことがなくなるよう、包装機そのものをデザインしなおすことも考えていく必要があると思います。

>皆が同じように使えて誰でも簡単にメンテナンスできる——。そんな機械が求められるようになるのかもしれませんね。

阿部:当社の社長がよく言うのですが、「人を選ばない包装機、人に頼らない包装機」をつくること。そして「人を助ける包装機」が、これから先求められる包装機なんだと思います。

>「人を助ける」包装機ということで、操作性の向上などはすでに取り組んでいらっしゃいますね。

阿部:操作パネルは、一目で操作方法がわかるようにつくりました。ウェブ上で、質問された内容に対話形式で返答する、チャットのQ&Aもできています。

>では、阿部さんが考える“究極の包装機”とは、どのようなものでしょうか。

阿部:「包装して」と言うだけで、機械が動き、自動で包装してくれる包装機ですね。人の手を必要としない包装機——。それが誕生すれば、工場の無人化も実現できます。今は、工場には大勢の人がいて、こまごまとした作業を人の手で行っている企業が大半です。でも、そうした単純作業を機械に任せることができれば、人はもっとクリエイティブで付加価値の高い仕事に注力できるようになると思うんです。

>それを実践することで、男女国籍問わず、力の強い人も弱い人も同じように、クリエイティブに働く未来が生まれそうですね。

阿部:包装機が変わることで、工場内の働き方は変わります。働き方や意識が変われば、そこに従事している人の考え方も変わっていくはずです。それがほかにも波及し、ひいては食品業界全体の“働く”意識が変わってくる。よりよい働き方、付加価値の高い働き方ができるようになるはずです。また、包装した商品が今どこにあるのか、誰が買ってどの地域で食べたのかといったトレーサビリティに関しても、いくつかの企業様からお問い合わせをいただいています。袋に商品の固有番号を付与すれば、ある程度のトレースは可能です。もっと詳細なデータ取れるタグを付与し、より細かいデータが取れるようになれば、どのような製品をいつどこで出せば売れるのかといった予測もできるようになる。今後は、単なる包装機の改善だけでなく、包装によるトレーサビリティなど、包装を通してさまざまな課題を解決する提案をしていければと思っています。川島製作所は、包装の可能性を広げワクワクできる未来を皆さんにお届けすることをお約束します。

(終り)

Vol.01:SDGs・カーボンニュートラルへの取り組み「待ったなし」、いかに消費電力を抑えるか

Vol.02:環境対応包材の最新取り組み状況と商品ブランドを高める最先端包材の実力

Vol03:物流まで変える! 環境時代に最適化する包装環境技術とは

川島製作所は包装機械を通じて、お客様が抱えるそれぞれの課題を解決します。
私たちの製品、そして私たち自身は、お客様の課題解決のために存在しています。
展示会では、そんな川島製作所の価値を体感してください。

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■Company Profile
株式会社 川島製作所
所在地 埼玉県草加市谷塚上町434
TEL 048-925-1573
創業 1912年
資本金 1億円
従業員数 247名(子会社含)
https://www.kawashima-pack.co.jp/

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