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CEOブログ -SPECIAL INTERVIEW 01 前編 – モノづくりへの終わりなき情熱

川島製作所が上質を追求する企業となるために、各界の一流の方々から学びを得る対談企画・第一弾のゲストは、ヴァイオリニストの葉加瀬太郎氏です。

2021年8月18日にニューアルバム「SONGBOOK」をリリースした葉加瀬さんに仕事とは、人生とは、そしてモノづくりへのこだわりなどについてお話を伺いました。

シンプルに、目の前の人や好きな人を幸せにすればいい

伊早坂:私が社長に就任して6年目なのですが、先輩方の素晴らしい取り組みがあった過去も踏まえ、これからの100年に向けて会社をどうしていこうか、延長線上で良いだろうか、変えるべき点、変えないべき点はどこだろうかと模索しています。 

葉加瀬:そうなんですね。

伊早坂:いまそこで、会社を大きくすることよりも、一緒に働く仲間たちとともに幸せになること、上質なモノづくりにこだわって提供できる会社になることを追求していけば、自ずと次の100年も可能だと思っているんです。

そのとき、「じゃあ、上質ってなんだろうか?」という命題にぶつかるのですが、上質を体現している一流の方との対談を通じてヒントを得たいと、葉加瀬さんをお招きした次第です。

葉加瀬:ありがとうございます僕はビジネスのお金の計算はスタッフ任せですし、プライベートも家内に通帳を預けたきり、銀行の振込もできないくらいですから、会社の経営については詳しく語れないですよ。

僕がやることはいつも一緒でいい曲をつくることと、いいステージをつくること。これは予算もお客さんの人数も関係なくて、10人だろうが、1万人だろうが変わりません。1曲終わるごとに拍手をパチパチともらえて、一言でいうと褒められたい一心で生きています(笑)

伊早坂:その気持ちよくわかります。私も会社経営がどうこうと言う前に、働くことの本質っていうのは人の役に立つことであり、相手をハッピーにさせることだと常々思っていて、それが結果的に、仕事になったり、会社になるものだと考えています。

葉加瀬:じゃあ、「その人って誰なんだ?」ってなりますよね。僕の場合だと、コンサート会場にお客さんが1000人いたとすれば、当然ですけどすべてのお客さんの顔は見えないわけです。
なので、僕はもっと限定していて「自分の好きな人を幸せにする」っていう考えでもってステージに上がって演奏しています。シンプルでわかりやすいでしょ。

伊早坂:今日会った人、もしくはいま目の前にいる人をハッピーにすることに全集中するってことですね。

葉加瀬:そう! あいつのためなら、こいつのためなら、という原動力に勝るものは実はないんですよ。その対象が子どもって人もいれば、会社って人もいれば、好きな女性という人も……、なんでもいい。そもそも僕がやっている公演というのもその際たるものなんです。参加するミュージシャン各人が誰のために演奏しているかはそれぞれですから。
おそらく企業を経営していくことも、好きな仲間たちと一緒になって何かを作り出して社会だとか誰かに貢献することなので、あまり違いはないですよね。

伊早坂:私もいつも会社で言っていますが、たとえば同僚に「今日何があった?」と一声かける思いやりだけでも相手を幸せにすることですし、人の役に立つことになります。個人の思いやりの気持ちの総和が、いい会社につながっていくのだと思っています。

日常をこなすのではなく、日々、楽しみを発見すること

伊早坂:葉加瀬さんの場合、ツアーやステージごとにいろんなミュージシャンの方が集まって、その総和が形になっていくわけですよね。

葉加瀬:まさにそうです。コンサートはその縮図です。ステージ上には10人くらいとしてもその周りに何十人、何百人のスタッフがいて、お客さんも数千人以上いらっしゃって、ひとつの空間をつくっています。

伊早坂:今回の新アルバム「SONGBOOK」は昨年(2020年)のツアーをご一緒したメンバーの方々でレコーディングされたんですよね。

葉加瀬:バンドなのに、あたかもクラシックのオーケストラをやっているような“うねり”
があって、前回のツアーの途中に「もう、次のアルバムは、全曲このメンバーで録る」って決めていたんです。平均年齢57歳のメンバーですよ! 
でも、音楽家は歳なんて関係ないから、20歳の若者もベテランも変わらないですよ。僕も30年演奏していますが、いまだに毎回ステージに出るのに緊張するくらいですから。
一方で、これよくうちのスタッフにも言うんですが、僕のコンサートってわりとシリーズ化するんです。メンバーも固定されてきたり、経験のある演奏者だと、ついこなれた演奏になったり、悪く言えば「去年の感じでいいですよね」なんていう空気になったり。
それが僕にはカチン!と来るんです。譜面が同じだからって去年と今年が一緒じゃないだろって。

伊早坂:わかります。私も従業員に「いままで通りっていうのはやめてくれ」と良くいいますね。それ一番つまらないことですしね。

葉加瀬:そう。「こなすな!」と言いたい。歯磨きだってそうだけど、毎日同じことのなかに「こんな磨き方どうだ」とか発見していくことがおもしろいわけで。
たとえば家でお風呂に入るとき、僕はとりあえずもぐるんです。どこまで息が続くかなとか。夏におすすめなのが、クールでヒリヒリするシャンプーなんかを全身につけて風呂上りにエアコンの温度を極限まで下げてどれくらい涼しいか試すこと(笑)。

伊早坂:青春してますね! 無邪気だなあー。

葉加瀬:それって褒めてます? 

伊早坂:もちろんですよ。無邪気って本当素晴らしいと思います。日常も仕事も偏見や常識を超えて、まずはなにかチャレンジしてみるっていうのが大切ですから。

モノづくりへの終わりなき情熱

葉加瀬:今回のアルバムはずいぶん前に作った曲をもう一回掘り返して、アレンジし直しているんですが、30年前に作った曲は、まあ、“曲にアクセサリー”がいっぱいついている。すき間さえあれば、ヒュルヒュルヒュル、ドカーン、ドンチタチタ、ドン、バーンと何か入っている。当時を振り返ると、間が怖かったんだろうなと思います。

伊早坂:若い頃っていうのはモノづくりだけでなくて、ファッションも生き方も足し算で考えがちですからね。中身に自信がないときほど、視点が他に向くように足してごまかしているのかもしれません。それが、本質の部分で勝負すると決めると、足すことよりも引いて研ぎ澄ませていくことの重要性に気づけますし、本質の部分で湧き出るものほどかっこいいと、いまは特に思いますね。

葉加瀬:そう。足していくことも楽しいからいいけど、引いて研ぎ澄ませて洗練させていくっていうのはとても大切です。芸術や製品も賞味期限が長いものや時代を超えるものには無駄のないものが多いですよ。どこを足して、引いてというのは毎回試行錯誤ですけどね。
社長もおわかりでしょうが、モノづくりってこだわり出すとキリがなくて、やり始め出すとどこまでもいけますよね。

伊早坂:そうです。完璧を追い求めて妥協したくないと、社長になって書籍のタイトルにもあるように当社のスローガンを「そこまでやるか、をつぎつぎと。」にしたんですが、満足っていつもできないものです。

葉加瀬:今回のようにアルバムを出すとなると、まず発売日が決まって、平均して約1年くらい前から曲を書いたり聞いたりするのが日常になります。スタッフからすれば締め切りは厳守。でもこっちは自身の名前の入ったCDを末代まで残すわけなので、妥協なんてできないわけです。
ほんといつも最後の最後まで「もういっぺんトライさせて!」とスタッフたちとの闘いですよ。

伊早坂:一生満足ってないですよね? 
当社も常に現状に満足せず、ずっと学び高めていくこだわりを持つことがお客様に選ばれる品質につながりますし、妥協せず、むしろ期待を上回る上質な製品と上質な支援で、お客様を感動で満たす、そのためにいろんな取り組みを進めています。

葉加瀬:それは素晴らしいですね。本当に満足って難しいですね。僕の場合、一度納品したものは、もういじれないから発売まで一切聞き直しません。聞いたら必ずリテイクしたくなりますし。
あと、取材の度に、「今回のアルバムの一番好きな曲はどれですか?」と聞かれるんだけど、出たものはもういじれないから、いつも一番好きな曲は次につくる曲にしたいと思うんです。「明日から取りかかるものを一番好きな曲にしよう」と。
この連続で、死ぬまで曲を書いていくんだと思いますね。

伊早坂:ほんと、モノづくりってその連続だと思います。

共通の趣味である靴磨きやファッションについても話が広がり、対談はおおいに盛り上がりました。

 

【後編に続く】
後編では、100年、200年後も残る普遍的なモノづくりについて、さらには葉加瀬さん独自の人生観や教育観についてもお聞きします。

葉加瀬太郎(はかせたろう)
ヴァイオリニスト  
葉加瀬太郎オフィシャルサイト
1968年1月23日 大阪府生まれ。
1990年、“KRYZLER & KOMPANY”のヴァイオリニストとしてデビュー。セリーヌ・ディオンとの共演で世界的存在となる。
1996年、“KRYZLER & KOMPANY”解散後ソロ活動開始。2002年、自身が音楽総監督を務めるレーベル“HATS”を設立。
2007年秋、原点回帰をテーマにロンドンへ拠点を移す。
2020年、デビュー30周年。
2021年8月18日、アルバム「SONGBOOK」をリリース。
9月11日より千葉・松戸を皮切りに全国ツアー「葉加瀬太郎コンサートツアー2021~SONGBOOK~」(全国ツアー38会場43公演)を開催。

 

撮影/山田崇博
文/クロスメディア・マーケティング

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